夏から秋にかけては、風邪やさまざまな感染症が流行しやすい時期です。
最近は「熱は下がったけど咳が残っている」「そんなにしんどくないのに咳だけ長引いている」というご相談が増えています。
ご本人は軽く考えていても、周囲から「早く病院に行った方がいい」と言われるケースも少なくありません。
こうした咳は本当にただの風邪の後遺症なのでしょうか?
今回は長引く咳の原因や治療法、日常生活でできる工夫についてお話しします。
長引く咳の正体とは?感染後咳嗽とその他の病気
風邪やウイルス感染の後、炎症や気管支の刺激が残って咳だけが続くことがあります。
これを「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」と呼びます。
感染力はなく、炎症の名残で咳が出ている状態です。しんどさは少なくても、咳が長引くことで不安を感じる方が多いようです。
ただし、咳が長引く原因はそれだけではありません。
現在も新型コロナウイルスは完全には収束しておらず、岡山でも「まだピークを過ぎたとは言えない」状況です。
熱がなくてもコロナということはあり得ますし、喉の症状だけが出る場合もあります。
そのため、まずは検査で確認することが大切です。
さらにインフルエンザや百日咳、RSウイルス、結核といった他の感染症が原因となることもあります。
特に結核は日本では少なくなったとはいえ、欧米に比べるとまだ多く注意が必要です。
咳が8週間以上続く場合は「慢性咳嗽」として呼吸器内科での精査が必要になります。
咳が生活や体に与える影響と治療
咳が続くことで起こる問題
咳は体にとってエネルギーを消耗する行為です。
長引くことで体力が奪われ、回復が遅れてしまうことがあります。
特に夕方から夜にかけて咳が出やすく、眠りを妨げて睡眠不足につながることもあります。
また、咳は仕事や生活にも影響を及ぼします。
例えば営業や接客で電話を取った瞬間に咳が出て困る、会議中に咳が止まらないなど、社会生活に支障が出ることも少なくありません。
「しんどくないから大丈夫」と自己判断せず、生活への影響も、受診の目安にしてください。
治療とお薬でできること
医療機関では、咳の原因や状態に応じて治療を行います。
炎症を抑える薬や咳を鎮める薬を使うほか、痰を出しやすくする薬、気管支を広げる薬を用いることで症状を改善していきます。
咳を止めることは単に「楽になる」だけでなく、体力を守り回復を促す意味でも大切です。
必要に応じて胸部のレントゲンや血液検査を行い、結核など他の病気が隠れていないかも確認します。
自宅でできる対策と受診の目安
お家でできるケア
ご自宅でできる工夫もいくつかあります。
代表的なのはマスクです。
マスクには感染予防だけでなく、冷たい空気や乾燥、ほこりなどの刺激から気道を守る役割があります。
特に朝一番や声を出すときに咳が出やすい方は、喉を乾燥させないように注意しましょう。
冷たい外気に触れると咳が悪化することもあるため、外出時はマスクを活用してください。
また、乾燥は咳を悪化させる大きな要因です。
加湿器を利用したり、部屋の湿度を適切に保つことも有効です。
咳が続くときに受診を考える目安
咳が2か月以上続く場合は、慢性咳嗽の可能性があります。
呼吸器の病気だけでなく、心臓や胃の病気が咳の原因になることもあります。
咳の症状があるときは、他科を受診する際にも必ず医師に「咳が続いている」と伝えてください。
体の不調は複数の臓器に関係していることも多いため、情報を共有することが大切です。
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長引く咳は「風邪の名残」だけではないことがあります。
感染後咳嗽の場合もありますが、コロナや結核など重大な病気が隠れている可能性も否定できません。
まずは検査で確認し、安心した上で治療やケアを進めましょう。
咳が長引いて生活に支障が出ている方は、自己判断せずに医療機関にご相談ください。早めの受診が、回復と安心につながります。
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