台風がいくつも到来し、湿度の高い日が続いています。
汗疹(あせも)など、この時期特有の疾患に悩まされる患者さまの受診も増えています。
また湿度が高いことから発生しやすくなっている「カビ」を原因とする病気での受診も多く、注意が必要です。
今回はこの時期特に注意が必要な、カビが原因となる疾患についてご説明したいと思います。
カビと体調不良の関係性
湿度が高くなると、お風呂や洗面所、キッチン、トイレなどの水回りには、普段以上にカビが生えやすくなります。
黒いものや赤っぽいもの、無色でぬめりのようなものなど様々ですが、どれもカビの一種です。
カビがあれば胞子を飛ばしている可能性は高くなるのですが、全てのカビが胞子を飛ばしているわけではなく、カビがあるからといって必ずしも体調が悪くなるわけではありません。
空気中に飛んでいる胞子を吸い込んだ場合でも、白血球に食べられ何事もなく済むことがほとんどです。
ただ吸い込んだ胞子の数が多い場合や、白血球が全ての胞子を食べてしまうことができなかった場合は体内で増殖し、体調不良の原因となります。
カビが引き起こすアレルギー反応による体調不良も
カビによる体調不良は、吸い込んだカビの胞子が体内で増えてしまうケースや、カビの生えた食べ物を食べてお腹が痛くなるケースなど、カビが直接的な原因となるものがあるのですが、それ以上に多いのがカビに対するアレルギーが原因となる病気です。
例えば過敏性肺臓炎という病気があるのですが、これは肺が吸い込んだ様々な物質に対して体が過敏に反応し、肺炎を起こしてしまう病気です。
特に夏場はカビが原因となる、夏型過敏性肺臓炎と呼ばれる病気が増えます。
普段喘息などの症状がない方でも、お風呂のカビを掃除した後やエアコンのフィルターを長く掃除していなかったときなど、カビの多い環境で過ごした後に
・発熱
・咳
・呼吸困難
・胸の痛み
といった症状が現れたら、夏型過敏性肺臓炎の疑いがあるため受診をおすすめします。
皮膚から侵入し、水虫の原因となるカビも
水虫は、真菌(カビと同じく微生物の一種)によって引き起こされる皮膚の感染症です。
湿度の高い場所でカビが繁殖すると、その周囲には真菌も繁殖しやすくなります。
そのためこの時期はカビや真菌が発生しやすく、足の爪や指間などの皮膚表面にカビや真菌が付着し、水虫が発症する可能性が高まるのです。
水虫に対する治療法は、「根気強く薬を塗る」こと。
基本的には専用の塗り薬を患部に一定期間塗り続けるのですが、水虫は完治したように見えてもまだ菌が残っていることが多いため、しばらく薬を塗り続けることが必要です。
めやすとしては「治ったと思ってから(塗り薬を)プラス一本」とお伝えしていますが、爪の中にできた水虫などは爪が生え変わるまで塗り続けた方がよいので、1年くらいかかることもあると知っておいていただけたらと思います。
参考になるブログ
👉 ヒールが原因?女性にも多い、水虫は根気強い治療が必要です
湿度の調整と清潔な環境で予防を
カビと夏場に多い疾患についてお話ししてきましたが、これらの病気を防ぐには適度にエアコンを使用したり、除湿したりして湿度を調整すること、また手洗いやうがい、使用したタオル類をこまめに替えるなど、身の回りを清潔に保つことが予防策となります。
また疾患によっては何が原因か、どういった治療をすればいいかがわかりづらいものも多いため、「いつもと違う」「なんとなく体調が悪い」と感じたら、医師の診察を受けていただけたらと思います。
原因を取り除き、服薬など適切な治療を行い、早く回復して夏を元気に楽しく乗り切っていただけたらと思います。
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