子どもを中心に、マイコプラズマ肺炎の流行が話題になっています。
しかし大人がマイコプラズマと診断されることはまれで、多くは風邪は治ったのに咳だけが残る、いわゆる感染後咳嗽です。
この時期は、さまざまな症状で咳が残ることがあります。
今回はその原因と、治療や薬の管理で注意していただきたい点、さらには予防のためにできることをわかりやすくご紹介します。
この時期に多い咳の原因
感染後外咳
風邪や感染症の回復後に咳だけが残ることがあります。これは「傷は治ったけど、跡が痛む」ような状態に近く、わずかなきっかけで咳が出ることもあります。刺激となるのは、冷たい空気、タバコの煙、乾燥、話し過ぎなど。肺や気道が敏感になっている時期なので、安静と吸入薬の併用などで少しずつ改善していきます。
咳喘息/喘息
くしゃみや鼻水の症状がなく、咳のみが長引く場合。夜間や明け方に強く出るのも特徴です。咳喘息は喘息の前段階とも言われ、気道が敏感な状態が続くことで、喘息へと進行するリスクもあります。放置せず早めに医師の診断を受けることが重要です。
アレルギー性鼻炎/後鼻漏
鼻水が喉に流れ込み、それが刺激となって咳を引き起こします。後鼻漏による咳は長引く傾向にあり、鼻の治療をしないと咳が改善しないこともあります。アレルギー体質のある方は花粉やダニ、ハウスダストの影響を受けることも。
感染症(マイコプラズマ、百日咳、コロナ、インフルエンザなど)
マイコプラズマ肺炎は10代以下で多くみられますが、成人でも咳が長引く原因のひとつです。新型コロナやインフルエンザは、軽症でも咳だけが長く続くケースもあり注意が必要です。また百日咳は、大人が知らずに感染源となることもあるため、周囲に同様の症状がある場合や咳が長引いている場合には、早めの検査をおすすめします。
受診のタイミングと注意点
「もう風邪は治ったと思うけど、咳だけ残っている」「夜中に咳き込んで眠れない」「話していると咳が止まらなくなる」。
このような状態が1週間以上続いた場合は、迷わずご相談ください。
特に喘息系の症状は、季節や体調によって症状が出たり治まったりします。
治ったから薬をやめるのではなく、症状が完全に安定してから、医師と相談して薬を減らすことが大切です。
また咳の原因によっては感染症の可能性もあるため、初診時にはインフルエンザやコロナの検査を行うこともあります。
マスク着用のまま受診いただくことが望ましいです。
治療の方針と薬の管理
咳に対する治療は、原因によって異なります。
よく処方されるのは、
・気管支を広げる吸入薬
・咳を鎮める内服薬(鎮咳薬、去痰薬など)
・アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬
・感染症の場合は抗生物質
など。
喘息や咳喘息の方に対しては、ステロイド吸入薬を継続的に使うこともあります。
重要なのは、症状がなくなってもしばらくは薬を続けること。
特に喘息の方は、症状が出にくい夏場に薬をやめてしまうと、秋冬に再燃することも少なくありません。
また咳がひどく、胸や肋骨に痛みが出る方もいます。
これは咳そのものによる筋肉痛や神経痛であることが多く、必要に応じて痛み止めや湿布なども併用します。
咳予防のためにできること
咳自体を完全に予防することは難しいですが、原因となる感染症を防ぐことで発症リスクを下げることは可能です。
インフルエンザワクチン
秋冬前に接種することで、重症化リスクを減らします。
コロナワクチン
新型コロナによる長引く咳や後遺症を防ぐ効果が期待されます。
肺炎球菌ワクチン
高齢者に推奨されるワクチンで、咳を伴う肺炎を予防できます。
また日頃から室内の換気や加湿、手洗い・うがい、マスクの着用などを心がけることも大切です。
アレルギーのある方は、ハウスダストの少ない環境を維持することが、咳の予防にもつながります。
長引く咳の原因は人それぞれ。
ただの風邪だと思っていても、喘息やその他の感染症につながっていくことも少なくありません。
「咳が続くな」と思ったら、ぜひ早めにご相談ください。
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