暑い季節になると、冷たいお茶やジュースを飲み過ぎてお腹をこわしてしまうことがあると思います。
水分の多い便が出るためそう感じる方が多いのですが、下痢のしくみはもう少し複雑で、原因も一つではありません。
そこで今回は夏に起こしやすい下痢のしくみと、水分補給のめやすについてお話ししたいと思います。
下痢の原因は、水分のとり過ぎだけではありません
夏に起こりやすい下痢の主な原因は、菌によるものがひとつ。
もともとお腹のなかにはたくさんの種類の菌がいて、それぞれ異なる特徴を持っています。
例えば人間の平熱である36~37度程度で動きが活発になる菌もあれば、より低い温度で活発になる菌もあります。
平熱ではあまり活動しないのですが、冷たい飲み物や食べ物で胃や腸が冷えると活発になる菌があり、その菌が下痢を起こしやすい特徴を持っていたことで起こる下痢が「冷えてお腹をこわした」に近いでしょう。
病気ではありませんが、下痢は体にとって決していいとは言えない状態。
お腹をあたため、体を適切な状態に保てる菌が活動しやすい環境に整える必要があります。
ふたつめに考えられる原因は、もともとの体質として腸の動きが過敏であること。
ストレスや食べ物の刺激によってお腹をこわしやすい方にとっては、冷たさも十分強い刺激。
腸の粘膜が傷つき、それを治すための細胞や白血球が集まることで傷の周りに水分が増え、排出の際に下痢を起こすのです。
腸にできた傷を治すための水分ですが、結果的には腸内の水分を増やしてしまうので下痢を起こしてしまいます。
下痢のときも、水分補給は通常通りかそれ以上に
下痢のときは「少し水を飲んだだけでもお腹が痛くなってしまうから、水分を控える」という方がおられます。
トイレの回数も頻繁になるので気持ちはわかるのですが、下痢のときは失う水分が多く、ただでさえこの暑さ。
熱中症も起こしやすくなっているので、水分を控えるのは危険です。
摂取する水分量のめやすは「お腹をこわしたことや汗で失った量」なのですが、体からどれほどの水分が失われたかはわかりにくいですね。
のどが渇いているときはしっかりと、渇きを感じていなくても1~2時間でコップ1杯程度の水分は補給するよう心がけてみてください。
発汗や下痢では水分以外の栄養素もたくさん失われていますので、できれば水だけよりは、お茶やスポーツドリンクがおすすめです。
冷たさが刺激になって下痢をしている場合もありますが、外気温が高いと常温やあたたかい飲み物を飲むのは苦痛な方もおられるでしょう。
その場合は急にたくさんの冷たい飲み物を胃や腸に入れないように、少しずつ何回にも分けて飲んでください。
暑い時期の下痢は体をあたためることがつらいので治しにくいのですが、水分補給は欠かせません。
飲みやすい工夫をして、脱水症状を起こさないよう回復につとめましょう。
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